かりそめのたたかい
写真素材を組み合わせることで生まれる関連性やそこから発生する物語の面白さをイメージとして提示しています。 イメージによっては家族の写真を用いて、内的な感情や関係性を現在の社会問題に対する、私自身の立場や考えを リンクさせている作品もあります。
この作品では、暴力や闘争の無意味さ、虚構性、それらは演じられるもののように取り繕われたものであるということを、子供の遊びに例えて表現しています。
〈補足として〉
2015年5月に新芸術校一期で出た会田誠さんの課題に答えて制作しました。
▼課題文
1. 作品の題材(テーマ)として何か一つ、現在も続いている社会問題を選んでください。その関心が広く現代日本人に共有されているものの方が良いです。
2. 表現方法はなるべく「具象的な絵画」にしてください(単に会田が専門分野だからというに過ぎませんが)。なるべく画中に文字や記号は入れないでください(単にハードルを上げるイジワルに過ぎませんが)。けれどタイトルは付けてください。
3. なるべく自分ならではのもの(=ユニーク?)になるように頑張ってみてください。ちなみに会田は捻ったり笑いがあるものを好みますが、それにこだわる必要はありません。
4. 「絵(ビジュアル)だけで伝えたいことが伝わるかーー伝わらなくてもいいか」「この絵は社会を動かすことができるかーーできなくていいか」ーーそんなことを考えながら作ってみてください。
5. 絵は下手でも未完成でもアイデアスケッチでも構いません。
6. 以上のルールは「どうしても」という理由があれば破っても構いません。
今回の課題に対する回答としては、特に課題4について考え結論を出しました。
私は絵画という媒体は絵画の持つビジュアルだけで「言語化できない感情のような何か」を伝えることが可能だと 思っています。しかし、美術が社会におけるマイノリティな立場であることは誰もが知っていることだし隠しようがない事実であるように思います。なので、絵や美術作品が社会を動かすことは不可能だと思う。それがものす ごく優れた絵画でも卒倒するほどのショッキングな作品でも…。 ならばなぜ人は絵を描き、一方で美術館や個人邸に大事に保管したりするのか? それは「絵画」が、現代の抱えている問題や人々の感情や、「言語化できない何か」を克明に刻み、残すものだからだと思いました。
以上の考えから、今回の以下9点の作品は誰かの心を動かしたり社会を変えたりするものではなく、現代で起こっているさまざまな事柄、問題を、フラットに描いてみた、つもりです。
【格差社会】
A おゆうぎとしてのじゃくしゃ
B楽園追放 × 海外コンプレックス
Cアート界でよーいどん
Dおちぼひろいとしての釣り
【暴力、戦争】
Eゆうぎとしてのぶりょく
Fかりそめのたたかい
【家族】
Gふたごたち(右、左)と原発
Hキリコ
Iはは=神